マカロニ・ロケ地をめぐる熱きドキュメンタリー『サッドヒルを掘り返せ』が3月公開!

 スペインのカステリーニャ、ブルゴス近郊の荒れ地で始まった、マカロニオタク達の馬鹿げたプロジェクト。その活動を記録した『サッドヒルを掘り返せ』<Desenterrando Sad Hill>が日本でも公開!50年以上前に『続・夕陽のガンマン』の決闘シーンが撮影されたこの地で、今は無くなってしまった「サッドヒル」を掘り起こして、その姿を再興させようという、野望とその顛末を記録した、マニア達の記録が日本でも(2019年)3月8日(金)より、シネマカリテほかで全国順次公開が決定しました。予告編もできましたので、ぜひごらんください!

 スペイン、マドリードの北方約250キロ、カスティーリャ・イ・レオン州の中心都市ブルゴス郊外に位置するミランディージャ渓谷。電気も通っていない自然豊かな土地だが名所旧跡もなければレクリエーション施設もない。が、いつからか、そこを訪れ、なにかを探しているような旅人の姿が頻繁に見受けられるようになった……どうやらそこは、昔々、ある映画が撮影された場所らしい。しかし、50年近い年月、風雨、そして自然の力によって、皆がめざすべき聖地はすべて土と緑に覆われ、荒野へ還っていた。

 2014年、4人の男たちが立ち上がった。教師、バーテンダー、宝くじ売り、民宿の主人……地元に住む、映画作りとは何の関係もない普通の庶民だが、全員がある映画の大ファンだった。そのタイトルは、『続・夕陽のガンマン』。1966年の夏に撮影されたセルジオ・レオーネ監督によるマカロニ・ウエスタンの傑作だ。クエンティン・タランティーノ監督が生涯最高の映画と絶賛する作品として映画ファンには広く知られている。主演はクリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォラック。この3人が隠された金貨の行方を巡って丁々発止・だましだまされ、追いつ追われつの探索行を繰り広げ、最後にたどり着いた巨大な墓地で三角決闘へなだれ込む。高らかに鳴り響く映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネによる名曲「黄金のエクスタシー」、そして「対決」のテーマ……その舞台となった墓地「サッドヒル」が作られたのが、まさに、このミランディージャ渓谷だったのだ。

 映画撮影用に造られた墓地は、なんと5000基の墓標が円形に配置された巨大なオープンセットで、制作には数百人のスペイン軍兵士が動員されたことがわかる。木や草を取り、土を掘り起こす作業は遅々とし進まなかった。4人が結成した「サッドヒル文化連盟」が、インターネットを通じてボランティアを募集するとヨーロッパ中からボランティアたちが集まってきた。ただ『続・夕陽のガンマン』が好きだ、という理由だけで、クワやスキやシャベルを手に、フランス、イタリア、ドイツなどから列車に乗ってやってきた人々は、のべ数百人におよんだ。

 2016年、『続・夕陽のガンマン』撮影50周年を記念するイベントが「サッドヒル」で開かれることとなった。5000基の墓の復元までにはならなかったが、約2000基の墓標とクライマックスシーンの舞台となった円形広場は往年の姿を取り戻していた。広場では、楽団による音楽の演奏、決闘の再現演劇、映画のスタッフや関係者の挨拶、そして『続・夕陽のガンマン』の映画上映が華々しく行われた。映画上映に先立って、ギレルモ・デ・オリベイラ監督が各地を回って撮影してきたスペシャルメッセージが紹介された。決闘シーンに先立つ場面に流れる「黄金のエクスタシー」を30年以上コンサートのオープニングで使い続けている世界最強のヘヴィメタル・バンド「メタリカ」のジェイムズ・ヘットフィールド、クエンティン・タランティーノ作『ヘイトフル・エイト』でアカデミー賞®作曲賞を受賞したばかりのエンニオ・モリコーネ……
 そして、奇跡は起こった。映画ファンの愛と熱意が結実した瞬間だった。

 本作は、2017年東京国際映画祭でワールド・プレミア上映された。2018年、シッチェス映画祭ではニュー・ビジョンズ部門最優秀作品賞に輝き、アルメリア・ウエスタン映画祭の最優秀芸術貢献賞を受賞している。

 

公式HPはこちら
http://hark3.com/sadhill/

映画『サッドヒルを掘り返せ』日本版予告編